第1回 カマドウマの心を操る寄生虫ハリガネムシの謎に迫る

 実は、カマドウマはトラップを設置する時点でも、周囲にぴょんぴょん跳ねていた。

「夜行性の昆虫なんで、ずいぶん出てきてます。お、大きい、捕まえて!」

 カマドウマは素早い。おまけに、どっちに動くのかなかなか読めない。そんな中で、佐藤さんや学生さんは、さすがに慣れたもので、見事に捕獲する。むっちりした体と長い脚をもった成体や、この秋に孵化したばかりらしい子どもを何匹か見せてくれた。

カマドウマ。(写真クリックで拡大)

「いや、実は僕、カマドウマ、苦手なんですよね。でも、研究ですから。みなさん、大丈夫ですか。見るのも嫌やという人もいるので」

 佐藤さんはそう言うのだが、実はぼくは、カマドウマは苦手ではない。かなり格好良いとすら思っている。そのように述べると、「本当ですか!」と珍しがられた。佐藤さんが研究でカマドウマとつきあい始めて以降、周囲の反応を見る限り、こういうのは希だそうだ。

「すごい気持ち悪いと言われる人が多いと思います。多分、普通のバッタに比べて足がやたら長すぎて、そのくせ羽がなくて、その分、ジャンプ力がすごいあって、予測不能な動きするからやとか。ゴキブリみたいにちょっと何か体ツヤツヤしてるというか、ヌルヌルしてるというか。今大学の研究室でも飼っていますが、他の教員でも学生でも、来客はすべからく嫌そうな顔してます(笑)」

 そうなのか……。

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