第110話 覚悟なさい、これも定めよ。

 私はかなり、こヤツのために、フラフラと漂流し、結局、心が難破することがある。

 以前私は、ヒグマがうろうろするようなアラスカの原野を40日もの間、女で1人でキャンプをしながら、大河ユーコン川をカヌーで下ったことがある。

 そういった冒険的なことになると、計器の針がガーンと振れたときのように、左右にふらふら揺れ動くことはなく、一心不乱、猪突猛進することがある。

 ときどき、そんな行動力と決断力を発揮する私なのだけれど、どうも、今回はうだうだとしてしまう。

 たぶん男性だったら、狩りに行くと言うだけで、ウキウキ、ワクワクする人が多いのではないだろうか。

 でも私は、どちらかというと、自分で捕りに行くよりも、お家で獲物を持って帰ってくる男たちを、待っている方がいい。

 結局私は、狩りは男たちに任せて、木の実などの採取をしていた太古の女性たちのDNAを継いでいる“女”なのだ。

 ――と、私の“女性”である部分を再確認することができたけれど、私のこの「かかっていませんように……」と拝んでしまう心をなんとかしないと、トーニャやスティーブに申し訳なく思えてきた。

 ここは、ちゃんと心を決めて、彼らと共に行動すべきだ。

 そうこう考えているうちに、進む足は森を抜けて、再びミンチュミナ湖の氷上に出た。