第110話 覚悟なさい、これも定めよ。

 あああ……、

 そりゃあ、臨時の現金収入を得て、大喜びする友人たちの顔が見たい。

 でも、森のオオカミたちが死ぬのもイヤ……。

 そんな狭間で、私の心は揺れに揺れていた。

 あああ……、

 私はため息を抑えるようにうつむいて、スティーブの背中を追いながら、次の場所へと足を進めている途中、何度も何度も考えた。

「どうして私の心って、こんなにも複雑なのだろう……」

 ただ単純に、
 オオカミ、イコール、現金チャリン、チャリン! 札束ドッサ、ドッサ。

 ウヒヒ、ウハハ。

 現金が入ったら、何を買おう?

 何食べよう?

 と思えば、もちろん私に現金収入があるわけではないが、気も楽だ。

 それでなくても、この時代、しかも現代日本人の私が、野生の森のオオカミ猟に同行するなんて、なかなかできる経験ではない。

 ある意味、これはラッキーな経験なのだから、しかと目を開いて、その全てを全身で吸収せよ!

 そして、彼らと共に喜びを分かち合えばいいのだ!

 とも思うものの、やはり私は心の整理整頓ができない。

 あっちの気持ちになったり、こっちの気持ちになったり、まったくもって、いわゆる優柔不断というヤツだ。