第3回 アサリ漬けの日々と西表島の決断

(クリックで拡大)

――生き物好きの理系青年が、なぜアナウンサーになったのですか。

 研究者として大学に残るか、就職するかは本当に迷いました。子どものころから、生物博士になりたいという漠然とした夢を持っていましたから。ただ、就職するならテレビ局や出版社などメディア業に行きたいという希望はありました。

 大学院1年のとき、迷いに迷ったあげく、西表島に行きました。どちらかに踏ん切りをつけるためです。島にいて、何度となく自問しました。仮に研究者として大好きなこの島に来たとして、自分はここで骨を埋める覚悟ができるだろうかと。

 答えはNOでした。この島で一生暮らすことに物足りなさを感じる自分が、そこにいたのです。ここで覚悟ができないようなら、僕に研究者は無理だと思い、メディアに就職することを決めました。

 そういえば、就職すると決めたとき、ナショナル ジオグラフィック社も就職先候補に挙げていたんですよ、かなり高い順位で。

――えっ! そうなんですか?

 ええ、ただ残念なことに、その年は採用がなかったようなんですよ。

――それはナショジオ編集部、惜しいことをしました。最後に、今の桝さんと、生き物や自然とのかかわりをうかがいます。

(つづく)

桝太一(ます たいち)

1981年千葉県生まれ。日本テレビアナウンサー。東京大学理科二類入学、同大学農学部水圏環境専修卒業。同大学大学院農学生命科学研究科終了後の2006年、日本テレビ入社。「ZIP!」のほか、「全国高等学校クイズ選手権」の総合司会などを務め、「好きな男性アナウンサーランキング」で2012年、2013年と2年連続で1位に選ばれる。著書に『理系アナ桝太一の生物部な毎日』(岩波ジュニア新書)など。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。