第109話 いったい私は、どっちなの?

 大人気のラーメン屋で、並びに並んで何時間も待ったのに、無情にも自分の前で「ここで、もうスープがありませんから、お帰りください」と言われている瞬間を、私はテレビで見たことがある。

「せっかく長い時間並んだのに……」とか、「わざわざ遠くから足を運んできたのに……」という言葉も虚しく、「ここで終わり。はいサヨナラ」と現実を突きつけられ、彼らはがっくりと力を落として帰っていった。

 それを見て私は「なんて非情な……。メンマの1個でもいいから、食べさせてあげて」と思ったけれど、その反面、意外にも心の中はあっさりとしていて、「まあ、世の中なんて、そんなもんよ……」とも思っていた。

 そんな私が、骨をかじる番を、今か今かと待っている犬たちに出した答えが、
「はい、ここで終わりです。残念でした」と言うことだったのである。

 自分が始めてしまったことに対して、最後までやり抜かない後ろめたさはあるものの、もうスープ(私の体力と気力)が残っていないのだから仕方がない。

「そんなのヒドイわ~」と泣きつかれようと、「そんなことしたら、もう嫌いになっちゃうよ!」と吠えられようと、私は開き直った。

「世の中って、そういうものなのさ」――と。

 そもそも、この世には「やった~」と大喜びする者と、その影で「残念~」と肩を落としている者がいる。

 人生とは、“喜び”と“落胆”の繰り返しのようなものでもあるから、言ってみれば、「残念~」という瞬間にいちいち動揺していたら、次に“喜び”に向かう足が出遅れてしまうというものだ。

 要するに、残念な瞬間は、ごく普通に日常的にある。

 だから、まあ、気にしなくてもいい。

 だから、今回、骨をかじることができなかった残念な犬たちも、いつか、きっとイイ事があるさ。

 だからその時まで、頑張って生きていこう!

 と、犬たちの幸運をお祈りいたしまして、私はくるりと犬たちに背を向けた。

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