ここで今回のキーワード。

「少し寝足りない日々が1、2週間続いただけで徹夜以上のダメージが生じる」

 少し借りたつもりでも法定外金利で膨れあがる借金、それが睡眠不足なのである。少し寝足りない状態が人の認知機能に及ぼす影響を調べたユニークな研究がある。21~38歳の被験者48名を4グループに分け、3グループにはそれぞれ14日間にわたって4時間、6時間、8時間睡眠で過ごしてもらい、不運な残る1グループには3日連続の徹夜(!)に耐えてもらった。それぞれのグループの眠気や認知機能(刺激への反応能力)の変化を表したのが下図である。

図:「ちりも積もれば山となる」寝不足ローン(Van Dongenらのデータから筆者が作成)(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 8時間睡眠のグループはさすがに2週間の試験期間中を通じて眠気が強まることはなかった。しかし、4時間睡眠と6時間睡眠のグループは試験開始直後から眠気が強まり、4時間睡眠では1週間を超えると1晩の徹夜と同じレベルの眠気を感じるようになる。

「少し寝足りない」状態が認知機能に与える悪影響はさらに甚大である。6時間睡眠ですら10日を超えると徹夜明けと同じレベルにまで認知機能が低下する。これでは運転や危険作業に従事するのは非常に危うい。

 4時間睡眠ともなると2週目には3晩連続の徹夜と同程度にまで低下する。筆者も2晩連続の徹夜しか経験が無いので、3晩連続の徹夜でどのような状態になるのか想像がつかないが、上司は言わずもがな、推しメンのまゆゆの前ですら寝てしまうことは間違いない。

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