世界8億500万人が栄養不足、原因は食料へのアクセス

 WFPによると、ザンビアで栄養不足の比率が高い(48%)大きな要因は、インフラにあるという。耐久性のある道路を利用できる人口は全体の20%を下回る。

 一方、アジアでは、栄養不足の人口が最も多い。その筆頭はインドで、栄養不足の人の数は、1億9100万人を数える。ただし、1990年以降、インドの総人口が3億8300万人から12億5000万人にまで増えたのに対し、栄養不足の人口は2000万人以上減っている。

 研究者によると、アジアやアフリカにおける問題の原因は、所得の低さや農業開発の遅れ、社会的なセーフティネットの欠如にある。また、北朝鮮などいくつかの国では、政治環境がわざわいし、貿易や食料支援に支障が及んでいる。

 南北アメリカ大陸でも、栄養不足はおおむね減る方向にあるが、そのなかで栄養不足の人口比率が世界最高の52%となった国がある。中米の島国ハイチである。2010年の地震、2012年に襲った複数のハリケーン、2014年の干ばつによって大きな打撃を受けたのが原因と、WFPは考察している。

 データ収集が困難な国もあるため、世界すべての国の状況がFAO報告書に反映されているわけではない。例えばブルンジ(FAOの2013年版レポートでトップになった国)のように調査の必要性が高い地域では、食糧援助もデータ収集も容易でない場合が多い。原因は、市民暴動や自然災害、辺境地に住む人々の存在などが挙げられる。

 世界全体で見ると、栄養不足への取り組みは進捗している。しかし、今後その進み方は頭打ちとなる可能性がある。残された課題がより困難になるためだ。農業の革新によって困窮する国を助けることはそれほど難しいことではない。しかし余った食料を分配するのは農業だけで解決できる問題ではない。農業以外の産業はもちろん、各国の貿易政策も関係してくるからだ。

 FAOのシュミットヒューバー氏は語る。「それぞれの地域で食料生産が可能になれば、次に必要となるのはアクセスの確保です。アクセスの確保はより大きなチャレンジなのです」

(文=Daniel Stone/訳=conyac)