「サラ」と呼ばれるステゴサウルスの化石のパンフレット。尻尾に注目。(写真クリックで拡大)

 ステゴサウルスのもう1つの謎、棘(スパイク)についてはどう考えればいいのだろうか。

 まず、派手な背中の板に比べて、棘はあまり意識されないことも多いので、どこにあってどのようなものか再確認を。

 ステゴサウルスの背中の板は尻尾の上にも少し小ぶりになりつつ続いている。そして、それが途切れたあと、尻尾の先端近くに何対か、棘状の突き出しがある。

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「棘、スパイクっていうのがどう役立ったのか、いろいろな説があるんですが、おもしろいのは、同じ時代に生きていたアロサウルスの骨にステゴサウルスのスパイクが刺さったような穴がある標本が見つかっているんですね。それで、捕食動物であるアロサウルスに対抗するための武器として使っていたんだろうという話があります」

 長い尻尾の先についている棘だ。思い切り振り回せば相当な威力であっただろう。

「形状的に強そうだとか、レントゲン写真を撮ると中も詰まっていて実際に強い構造だとかあって、武器として使えたという説が有力だったんです。でも、反論する研究者もいて、その人が調べた標本では、円錐形というよりももっと扁平で強そうではないし、中の構造もスポンジ状で、むしろ背中の板に近い構造をしていた。だから武器としては無理があって、飾り的な要素ではないか、ということだったんです」

 ステゴサウルスには論争が多いが、これも、背板よりはやや地味であるものの、決着がつかない論争のひとつだった。しかし、林さんが、またも、骨の組織学的なアプローチを中心にして、結論を出してしまうのだ。

「実は、棘が強いか弱いかという点で、両方とも間違えではなかったんです」と林さんはいう。

本誌2014年10月号でも恐竜の特集「白亜紀の王者 スピノサウルス」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

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