その昔、今ほど物がなく、皆が貧しかった時代……、

 いつも一緒に遊んでいる子供たちのなかで、1人だけが、突然に親戚の叔父さんから顔ほどの大きなキャンディーをもらったとしたら……、いったい、どんな状況になるだろうか?

 きっと、みんなでキャンディーを舐め合って、幸せを分かち合うに違いない。

 そんな素朴で微笑ましい光景を想像した私は、
「よし! みんなにひと噛みずつ、ムースの骨をかじらせてあげよう!」と、考えた。

 やっぱり、あげたいものは、あげたいのだ。みんな平等に幸せ感を味わって欲しい。

 けれど、それがおバカさんだった……。

 まず私は、耳の聞こえないアンと、鼻腔障害のあるルーニーに骨をあげた。

 アンは喜んで子供のようにかじりつき、ルーニーは品良く座って前足で押さえながら舐めはじめた。

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