第115回 スルタンを虜にしたパレスチナのお菓子

 出来立てのクナフェをいただいてみた。クナフェは、チーズをカダイフ(極細麺状の食材)ではさみ両面をパリパリに焼き、ピスタチオなどをトッピングしたもの。しっかりと塩抜きされたチーズは、先程の「塩チーズ」とは別物。もっちりとしていて、意外なほどさっぱり優しい味わい。「ナブルスの山羊のチーズは日を置いても硬くならないんです」とシャディさんは美味しさの理由を教えてくれる。

ちなみに、ラマダンの際は写真のような半月形のパンケーキ「カターイエフ」もよく食べるという。チーズやナッツ類がはさまれていて甘~いそう

 「これはいける!」と一口、二口とどんどん食べ進んでいたら、「クナフェは高カロリーデザートなので、断食月であるラマダンの日没後や冬によく食べるんですよ」とシャディさんの一言。思わず一瞬、手が止まりました。

 お菓子と一緒に飲むのはセージやミントなどのハーブティー。でも、お茶はそれ以外には朝食時に飲むぐらいでその他のときはブラックコーヒーというのがパレスチナ流だ。「パレスチナやシリア、レバノンのコーヒーにはカルダモンが入るんです」とパレスチナのコーヒーを出してくれた。濃いコーヒーなのだが、カルダモンのふんわりとした香りで柔らかな味わいだ。同行したユカリ隊員は「普通はブラックではコーヒーを飲めないんだけど、これは美味しい」と驚きの表情。

 シャディさんは、実はイスラエル国籍のパレスチナ人だ。イスラエル西北にある古い港街ハイファの出身だという。実は、外務省のホームページによれば、イスラエルには約150万人のパレスチナ人がいる。中でもハイファはパレスチナ人が多い街として知られているのだという。

 イスラエルの中では、暮らしは大変なのではないだろうかと聞くと「ハイファにはイスラエルという国ができる前からユダヤ人が住んでいました。だから、お隣りのユダヤ人が出かけるときにうちに子どもを預けたりと、仲が良かったんです。僕は今の状況は教育が問題なのだと思う。イスラエルとパレスチナが共生できるような教育が必要なんだと思います」とシャディさんは真直ぐな眼差しで語る。

パレスチナのクナフェ。チーズとカダイフが層になっていて、もっちりとパリパリのハーモニー。「アルミーナ」のクナフェには砕いたピスタチオが載っていたが、松の実なども使うそう