第115回 スルタンを虜にしたパレスチナのお菓子

 「うちの店では、ナブルスからの輸入チーズを使っているんです。日持ちがするよう塩漬けしたもので、塩抜きしてから使うんですよ」。使用する4日前から塩抜きを始めるといい、頻繁にチーズを浸した水を換えなくてはならず手間がかかるそうだ。説明しながらシャディさんは、「食べてみて」と塩抜き前のチーズを味見させてくれた。一口かじると、塩の塊のようにしょっぱい! でも、乳脂肪のふくよかな味わいもあって、お酒のアテにはいいかも。

 温かい出来立てを食べるのがクナフェの醍醐味。そこで、シャディさんは話をしながらクナフェを作り始めてくれた。見ているとまず、イスラエルのクナフェにはなかったとても鮮やかなオレンジ色のペーストを器に塗り始めた。「これは、ギー(澄ましバター)にクナフェ用の自然着色料を混ぜたものなんです。この色がないと、パレスチナのクナフェではないですね!」。パレスチナには、クナフェ専用の着色料があるという。

様々な祝い事の際に登場するパレスチナのクナフェ。写真はナブルスのある博物館のオープン式典の際、出席者に振る舞うためのクナフェを作っているところ。でかい!

 「クナフェはティータイムなど日常的に食べるお菓子だけれど、特に結婚式や誕生日などのお祝いの席で出すことが多いんです。赤(オレンジ色)はハッピーカラーですからね」

 結婚式は3日間にわたり盛大に行われ、何百人前ものクナフェが消費されるそうだ。「この店では小さい器で作っていますが、パレスチナでは大きなサイズで作って切り分けて食べるんです」。また、誕生日にはバースデーケーキとダブルでクナフェがテーブルを飾ったりするらしい。パレスチナの子どもたちの誕生日の充実度、ハンパないです。