第83回 ゾウムシの「鼻」はなぜ長い?

 さて、ゾウムシというとなんといっても特徴は、長く伸びた鼻のような部分(口吻と呼ばれる)。なんであんな長い鼻をしているのだろう?と思われるかもしれない。

 主な役割は二つある。
 ひとつは、花の奥や実やタネ、枝などの中央にある組織を食べるため。ゾウムシの鼻の先端には、アゴ、つまり口がついていて、ほかの昆虫では届かない植物の“中身”を食べられる。

 二つめは、メスが卵を産む穴を用意するため。ほとんどのメスは、長い鼻で植物に穴を掘り、卵をその中に産み、その後セメントのような物質で穴を埋めるという行動をとる。たとえば、こんな感じで。

鼻で植物に穴を掘り、後ろを向いて穴の中に産卵する。
産卵後、茶色っぽい「セメント」で穴をふさいだ。時間が経つと色が濃くなる。

 今回紹介したのは、ほんの一部の一部。ほかにも、風変わりな形をしたゾウムシや鼻が短いゾウムシなど、ホントにいろいろなゾウムシたちがいる。次回もどうぞお楽しみに!

次のページは、<今週のピソちゃん>です。

ハナゾウムシの一種(ゾウムシ上科:ゾウムシ科:ハナゾウムシ亜科)
An anthonomine weevil drinking water
水を飲んでいるところ。ゾウムシの専門家によると、これはハナゾウムシの中でも、かたちが「変わり者」だと言う。ちなみに、ハナゾウムシの「ハナ」は、鼻ではなく、花。花のつぼみや、若い実に産卵することが多い。
体長:3 mm  撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
クモゾウムシの仲間(ゾウムシ上科:ゾウムシ科:クモゾウムシ亜科)
Conoderine weevils, Tachygonus sp.
毛深いので、なんとなくクモのように見える。正面から刺激を与えると逆立ちし「背中」を盾にする。専門家も知らなかったこの動きを、下の動画でご覧いただきたい。
体長:3 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

クモゾウムシTachygonus sp.の逆立ち
正面から軟らかい筆で触れると、前脚と中脚を使って逆立ちし、後ろ足を大きく広げる。

ゾウムシの同定は、Dr. Jens PrenaとDr. Henry Hespenheideにお願いしました。ありがとうございます!