第8回 眠気に打ち克つ力 その2 ―米国学会が若者に“寝坊のススメ”

 思春期の夜型傾向は日本学校保健会のデータでも端的に見て取れる。中学、高校と進学するにつれて就床時間がドンドン遅れるのだ。一方で、登校時間は変わらないどころか遠距離通学の子供もいるため早まる始末。結果的に睡眠時間は大幅に短くなり、睡眠不足を感じている高校生は6割以上に達している。どうりで授業中に寝ている学生が多いわけである。

図:思春期での睡眠の夜型化と睡眠不足。(日本学校保健会「平成16年度 児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」から作成)(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 成長に伴う夜型化はいったい何歳頃まで進むのであろうか。その答えは図を見ていただけば一目瞭然「大学生になるまで」。

図:年代毎に大きく変化する睡眠時間帯(欧州6万人での睡眠習慣調査。Russell Fosterら(2008)のデータから改変して引用)(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 この図は6万人の欧州人を対象にした睡眠習慣の調査結果で、登校や出勤の縛りがない休日の睡眠リズム(睡眠時間帯)をさまざまな年齢層でプロットしてある。図の縦軸は睡眠時間の中央時刻である。平日溜まった寝不足の影響は調整済みなので、体が求める自然な睡眠時間帯と考えて良い。例えば深夜0時に寝て、朝7時に起きる人の中央時刻は午前3時半(3.5)となる。図では10歳、もしくは50台半ばに当たる。もちろん睡眠時間の長さが違うので就床起床時刻は異なる。

 ご覧の通り女性は19.5歳、男性は21歳の大学生で夜型のピークを迎える。21歳男性の平均中央時刻は5.5なので、7時間睡眠だとすれば寝つくのは2時で、目覚めるのは9時となる。しかしこの起床時刻では平日だと完全に「アウト」である。では、どうするか? ま、頑張って起きるしかない。厄介なのは、起床は目覚ましとお母さんのかけ声でなんとかなるが、寝つきだけはどうにもならないという点だ。お父さんが怒鳴っても逆効果なので、まま、抑えて抑えて。

 基本的に睡眠不足なのだから早めに眠くなっても良さそうなものだが、夜型傾向が強いと夕食後にむしろ眠気が飛んでしまい、早寝につながらないのだ。「早寝早起き朝ご飯」は理想だが、若者の睡眠不足解消のかけ声にするにはちとハードルが高い。