番外編4 ヨウスコウカワイルカの二の舞を防げ

 ヨウスコウカワイルカは、21世紀になってから絶滅が確認された大型哺乳類として、たぶん最初のものだ。かつては長江にごく普通にいるイルカだったが、2004年に1頭目撃されたのを最後に、大規模な調査でもまったく発見されなくなった。2006年に絶滅宣言が出されている。

 一方、CGSは、野生からはほぼいなくなった。時々、見つかると漁政局に報告されて大騒ぎになるほどだ。しかし、養殖場にはふんだんに残っている。今後、保護区を設けて野生復帰を考える段階まで来ている。そこが大きな違いだ。

 また、地域個体群の違いを見いだしたい魏教授も、こんなふうに述べた。

「我々は、漁政局の協力なしには、残された野生個体も見つけられない。非常に感謝している。また、養殖家も、野生由来の個体や養殖個体のストックを維持することで、保護に貢献している。新しい半自然型の繁殖も望ましい。これまでは、ホルモンを使って繁殖させていたので、自然に繁殖できるなら素晴らしい」

 そうだったのか! どうも繁殖行動について無頓着な施設での繁殖を成功させるためには、ホルモンが必要だったのか。と書きつつ、どういうホルモンなのかよくわからなかったのだが。なにしろ、どちらかというと保全側に立つ魏教授が、これまで野生のCGSを減らしてきたと思われる捕獲圧の原因のひとつと目される養殖場を「保護に貢献」と位置づけるのが面白かった。このあたり、オトナの世界である、というのはもちろんなのだが、皮肉なことに野生個体が本当にいなくなった現状では、「保護に貢献」しているのも間違いない。