番外編4 ヨウスコウカワイルカの二の舞を防げ

 さて、結局、合計6つの養殖場をまわり、19頭のCGSにタグを打ち、つぶさに観察した。

 飼育状況、繁殖状況について、田口さんはどう見ただろう。

「正直、日本のオオサンショウオの飼育から考えると、あまり分かっていないなあというところが多いです。病気で口の中が充血しているのを見ましたよね。ああいうのは、よくない。繁殖にしても、野生の繁殖生態を理解してやっているというよりも、たまたまうまくいく個体や施設があって、そこでだけ偶発的に成功しているのかなあと思います。あと、異様に太っている個体が多かったですね。これも繁殖には不適な気がしますね」

半自然型の施設。(写真クリックで拡大)

 こと繁殖に関する限り、野生での状態を知らずに飼育するなら「たまたま」に期待するしかない。松桃苗族自治区で訪ねた養殖場のひとつに1980年代創業の、業界の草分け的なところがあり、よりよく繁殖させるために「半自然型」と名付けた繁殖施設を新設していた。これまで、屋内の生け簀で飼っていたものを、人工的な水路と人工巣穴で繁殖させるというものだ。水路が並行に設置され、その間を人工巣穴を埋設したあぜ道で仕切る。

 実際に成果があがっていると聞いたが、田口さんはさらによくする方法があるのではないかという。

「ひとつの水路に4つ巣穴があって、オスメス1頭ずつで8頭って言ってましたよね。野外では、強い、いいオスのところに複数のメスがやってきます。飼育下で繁殖させようとすると、いいオスがいないと、どうやらメスは産卵しようとしないみたいなんです。オスメス1頭ずつにするんじゃなくて、日本の広島市安佐動物公園の繁殖施設でやっているように複数のオスメスを一緒にしたほうが成功率はさらに上がるはず」

 どうやら、日本での飼育・繁殖の実績から、伝えるべきことはたくさんありそうなのである。