この日は、もうひとつ養殖場をまわり、作業をするうちに日が暮れた。2つ目の養殖場は、棚田の中にあり、まわりには菜の花が咲いていた。春が来た! という雰囲気だった。しかし、周囲には雪がまだ積もっており、冬が去っていないことも見てとれた。

 夜はかなり冷えた。いや、かなり、どころか、とんでもなく寒かった。宿全体が、である。

 この付近の家屋は、今も練炭を使うことが多いせいなのか、一酸化炭素中毒を恐れて家屋の窓を開け放つ習慣があるようだ。ホテルも廊下のすべての窓が開いていた。さすがに部屋の窓は閉めたけれど、とてもシャワーを浴びる体感温度ではなかった。金属ボディのパソコンも冷たくなり、わかしたお湯をコップに入れてパームレストに置いて温めてから使った。

 なおシャワーはほとんど水みたいだったそうだ。自分で使っていないのになぜ知っているかというと、田口さんが律儀に浴びて、風邪を引きそうになったからである。

 さて、そんな寒さのせいなのか、この土地の人たちは、とても強い酒を飲む。

 少しでも公的な機関と一緒に動くと、中国では必ずついてくる「夜の打合せ」(接待、というのとはまたイメージが違う気がする)の場には、大量のお酒が運び込まれていた。

 いわゆる習酒。コウリャンから作られた蒸留酒で、アルコール度数は軽く50度オーバーだ。持ち込まれたボトルをすべてあけないと帰れない、という習慣があって、何人たりとも逃れられない雰囲気が満ち満ちていた。

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