オープンソースな養鶏は可能か---遺伝子を企業支配から解放する

オンライン・ファンドのキャンペーンビデオで、ヒヨコと共演するウォーカー。(写真提供:イートウェル・ファーム)

 養鶏産業の整理統合が進んだ時代、かつてはひとくくりだった鶏は、肉として食べる鶏(肉用鶏)と卵を採るための鶏(採卵鶏)の2種類にわかれ、それぞれの体は世代が進むごとにかけ離れていった。肉用鶏は、あっという間に筋肉が成長する肉のかたまりのような鳥となったが、若鶏のうちに食肉として処理されるため卵を産むことはできない。

 一方、採卵鶏は、筋肉を発達させるかわりに卵をたくさん産むように品種改良された。当然のことながら、卵を産むのは雌鶏だ。つまり、雄鶏は余計者。採卵鶏を育てて卵を生産しようとすれば、雄のヒナは孵化した途端に殺される運命なのだ(これは卵を使用する食品会社にとっての課題でもある)。ウォーカーも養鶏を営んでいる以上、不本意ながらも毎年数多くの雄のヒナを犠牲にすることに加担していることになる。

雄のヒナを犠牲にせずに

 だが、彼には解決への道筋が見えている。昔ながらの種類の鶏を飼育すればよいのだ。伝統種なら、雌鶏は十分な数の卵を産み、雄鶏の肉付きもかなり良い。彼のねらいは伝統種を飼育するだけに終わらない。保有する鶏を交配し、産卵・孵化させるまでを自身の農場で一貫して行う、元来の繁殖モデルに立ち戻りたいと考えている。

 ウォーカーは、オンライン・ファンドで調達した資金を使って、現在飼育している採卵鶏「プロダクションレッド」を昔ながらの品種「ブラック・オーストラロープ」に変えていくことを計画している。雌鶏は孵化後4~5カ月で産卵できるようになり、その後2年間は卵を産んでくれる。大規模生産の採卵鶏の2倍の期間だ。雄は食肉用として市場に出荷できる大きさまで成長するのに14~16週間かかる。これは大量生産されるブロイラーの2~3倍の時間だ。

「鶏が長生きすれば、そのぶん餌も余計に必要になります。1950年代、農家が新しい品種に乗り換えたのは、それが理由です。お陰で、鶏肉が食卓に上るまでの時間は短縮されました。当時の農家を責めることはできません。政府が増産と飼育コスト削減を迫ったのですから」とウォーカーは話す。