結局、ジムもぼくも、床下にまで逃げ込むことはなく、嵐はおさまりました。

「いまのはいったい何だったんだ?」

 その場にいた誰もが言葉は少なかったけれど、お互いの顔を見合わせて、いま通り過ぎていったばかりの嵐の凄まじさを伝えあいました。

 ミネアポリスぐらい南……つまり、平坦な草原が広がる地帯にまで行けば、ときおりトルネードが襲ってくることはあるそうです。

 しかし、こんなに北の、しかも森のなかで、これほど激しい嵐が来たことはジムの記憶にないそうです。

 風は弱まっても、雨がまだ降っていたので、ぼくたちはしばらくキッチンの椅子に座って、天候が落ち着くのを待ちました。

 そういえば、電気がすべて消えています。

 もともと間接照明ぐらいしかついていなかったので、すぐには気がつかなかったけれど、どうやら停電しているようでした。

 やがて、雨もすっかり止んで、外の景色が再びよく見えるようになりました。

 小川の対岸の木々のほとんどが、幹の先が折れてなくなっていました。

 なかには木全体が傾いて、根に掴まれていた土が引きはがされ、その下の地面があらわになっているものもありました。

 電話線はまだ生きていたようで、ジムは、ハイジに電話をかけました。

 ハイジによるとイリーの町でも、突然ものすごい雨と風が襲い、巨大な街路樹が倒れて、家の塀や屋根を破壊したりと、大変なことになっているとのことでした。

 ジムはキッチンの床下の倉庫へ行き、携帯用……といってもかなりの大きさですが、車と同じようにガソリンで動く発電機を取り出して動かしました。

 当面の電気はこれでまかなえるそうです。

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