番外編2 これがチュウゴクオオサンショウウオだ
「どうみても、CGSいないですよね。ベッキーは昔、ここにもいたはずだって言うんですけどね」と田口さんは不満げであった。
肺呼吸で、時々は水面に出なければならないオオサンショウウオにとって、ダム湖はそれほど適した場所ではないのだ。
むしろ、細い川でいいから、ごろっごろっと岩が転がっているようなところはないか……。
と探していたら、あった。自然保護区の出口に近いあたりの川が、田口さんのフィールドがある兵庫県朝来市の川(本連載の過去記事を参照)に似ていなくもなかった。 「ここです、ここです」と田口さんは言う。 「これハンザキ研の岡田さんが、ロンドン動物園のスタッフと1週間かけて、夜に潜ってまで探したところなんです。むかしはいたそうなんですけど、1匹も見つけられなかったんです」
1週間かけて、きちんとした装備で探してもいないということは、オオサンショウウオが岩陰で静かにしている昼間にいきなり訪れても、まず見つかることはないだろう。田口さんは、一応、たも網を持って、捕獲する気満々なのだが、やはり、見つけることはできなかった。