番外編2 これがチュウゴクオオサンショウウオだ

「CGSは、淡水大熊猫(水の中のジャイアントパンダ)みたいなものなのだから、自然保護の対象として注目されるべき。1987年からワシントン条約の絶滅危惧の指定を受けているのに、国内では国家2級保護動物。今ひとつ認知が足りなくて、私たちの調査では、中国の人のほとんどが、魚だと思っている。姿を見たことがない人も多い」

 ベッキーは、シンガポール・アクセントを思わせる英語でマシンガントークする。小さな体にはち切れんばかりの精力を漲らせている。

 彼女が見せてくれたのは、彼女の地元の昆明と、貴州省最大の都市・貴陽で行ったアンケート調査だった。「娃娃魚」と表記すると「魚」なので、見たことがない人は素直に魚類だと思うのだろう。考えてみれば、日本でも「オオサンショウウオ」だから、ウオ(魚)だと思っている人は少なからずいる。

 街中に移動して紹介されたのが、貴陽の大学の魏剛教授。大学院生を引き連れての参加だ。今回のチームは、元締めであるロンドン動物園組のベッキー、地元アカデミアの魏教授グループ、そして、ハンザキ研の田口さんとくっついてきたぼくの日本組、という混成状態で活動することになった。

右から、ベッキー、魏教授、大学院生。(写真クリックで拡大)

「野生のCGSを見に行こう!」というのは、田口さんの強い希望だった。

 梵浄山自然保護区は、明代に多くの寺院が作られた地域でもあり、阿弥陀如来が修行した場所という伝説もあるとか。実際の所、梵浄山という「山」は、お寺である。独特の形の岩山があって、仏教の聖地だというのも分かる。

 しかし、ぼくたちの関心事は、水辺だ。石灰岩が多い地形の中にダム湖があって、まずはボートで偵察した。

(写真クリックで拡大)