番外編2 これがチュウゴクオオサンショウウオだ

 中国貴州省の銅仁市は、市直轄の2つの区、4つの県、4つの自治県からなる地方都市だ。日本の「市」と「県」の階層とは逆で、県の方が小さな行政区画をさしている。だから、銅仁市といってもかなり広い。調べてみたら1万8000平方キロメートルほどで、日本の四国と同規模だった。

 今回、ハンザキ研究所・研究員の田口勇輝さんが呼ばれた背景には、銅仁市内にある広大な梵浄山自然保護区に、チュウゴクオオサンショウウオの保護区を作ろうという動きがあるからだ。

梵浄山自然保護区の「梵浄山」。仏教の聖地で寺院がある。(以下写真:川端裕人)(写真クリックで拡大)

 銅仁の空港では、赤いテンプルの黒縁眼鏡をかけた、パワフルな雰囲気の女性が待っていた。

 ベッキーと名乗った彼女は、雲南省昆明市を本拠にしつつ、CGS(チュウゴクオオサンショウウオ)の保護のために奔走している。生まれも育ちも中国。大学はシンガポール。インターンとしてロンドンで働いていた時に、ロンドン動物園がCGSの保護計画を立ち上げることを知り、中国国内の調整役ができる現地スタッフとして抜擢された。動物園が国内外の自然保護・種の保全に積極的にかかわるのは、北米や欧州の動物園ではよくあることだ。ベッキーは、一筋縄ではいかない利害関係者と話しあったり、教育普及をはかったり、様々な現地調査を行ったり、といった仕事をこれまでこなしてきた。

「はーい、ユーキ」と田口さんに親しげに話しかけたのは、実は前年、ベッキーは兵庫県にあるハンザキ研究所をロンドン動物園のスタッフとともに訪ねていたからである。ハンザキ研は、日本を訪れる両生類関係者にとって必ず訪れたいところの1つだし、ましてや、オオサンショウウオ関係者にとっては、訪れなければならない所になっている。

 さて、そのベッキーの説明によると──