日本のオオサンショウウオの研究と保護の活動を行っている日本ハンザキ研究所(ハンザキは、オオサンショウウオの古い標準和名)について、以前(2011年)に紹介した。姫路市立水族館の館長だった栃本武良さんが、退職後、オオサンショウウオの生息地の川沿いの廃校を借り受け、そのままオオサンショウウオの研究・保護施設に仕立て上げたもの。NPO法人として活発に活動している。

 公的な機関が、イニシアティブをとってオオサンショウウオの研究保護センターをつくることはなかなかないので、日本ハンザキ研究所は日本を代表する保全研究の中心地だし、それはそのまま、世界のオオサンショウウオ研究共同体で一目置かれる存在だということでもある。なにしろ、オオサンショウオがいるのは、日本、中国、アメリカの3カ国だけだ。その中で、日本のオオサンショウウオ研究は、ほかの国にくらべて厚みがあるらしいのである。とりわけ、動物園などで培われた飼育実績、繁殖実績に関しては、1日どころか、何10年分の長がある。だから、海外の動物園がオオサンショウウオを飼うときに参考にしてきたのは、日本の飼育施設だった。

グレッグ・リップスとヘルベンダー。(以下写真:川端裕人)(写真クリックで拡大)

 なお、現生の「世界三大オオサンショウウオ」(3種しかいないわけだが)の中で、アメリカオオサンショウウオは、最大でも全長70センチくらいにしかならない。通称ヘルベンダーと呼ばれ、その研究者・保護活動家である、グレッグ・リップスも来日した際にハンザキ研究所とそのフィールドを訪ねた。帰国後、伝授されたノウハウを調査や飼育下繁殖に役立てている。

 他にも、ワシントンDCの国立動物園、セントルイス動物園、などの飼育チームが引きも切らず訪れて、北米でのオオサンショウウオ飼育に知見を役立てている。

卵を掻き出す“栃本ツール”と呼ばれる鈎のついた棒(左)。ハンザキ研直伝の方法で採集した卵から孵化したヘルベンダーの幼生(右)。(写真クリックで拡大)

 さて、そんな中、今回は中国でチュウゴクオオサンショウウオの研究・保護にたずさわる人たちから、現地に来て指導してほしいとの依頼が届いた。その主要メンバーは、やはり、以前、ハンザキ研究所を訪ねたことがある人物だ。

 それを受けて、栃本所長の愛弟子である、田口勇輝研究員が現地に飛ぶことになったのは今年(2014年)の2月。

 ぼくも同行することができたので、中国のオオサンショウウオ事情をリポートする。

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