ニニさんのお母さん手作りのひよこ豆の揚げ物。ほんのり塩気があり、おかきのような食感だ

 「ミャンマーでは鶏ではなく、アヒルの卵をのせます。それからひよこ豆の揚げ物。これは私のお母さんの手作りです」と言って手のひらサイズの揚げ物をくだく。香ばしいひよこ豆の揚げ物はスナックとしてもよく食べられているそうだ。また、代わりに夕顔の実を揚げたものやさつま揚げをのせたりもする。屋台では好きな物を選んでトッピングする仕組みだという。

 「モヒンガーはスープなので麺も具材のひとつ。すすったりはしないでスプーンで細かく刻んで食べるんですよ」と教えられて、皿の上でモンパを刻む。さあ、やっと食べれるぞーと口に入れた。ぱあーっとレモングラスの香りが口に広がる。臭みはないのにスープのコクの深いこと。ナマズのうま味がぎゅうっと絞り出された感じだ。それでも口当たりがくどくないのはショウガやバナナの茎が入っているからだろうか。お腹が空いていたこともあってついかきこんだ。

 しかし、ナマズのせいか、はたまた油のせいか、なかなかパンチがある。次第に胃がずっしりとしてきた。直径約40センチの大鍋になみなみとつくったモヒンガー。優に10人前はありそうだが、「これでだいたい4人分ですね」とピューさんは言う。このパンチでこれだけの量を毎日、しかも朝から食べるとはミャンマー人はパワフルだ。

 「日本ではたまにインスタントを食べていてそれも好きだけど、みんなでつくって食べるのはやっぱり楽しいし、美味しい」とお代わりをするピューさん。ミャンマー人は日本でも基本的に故郷の料理をつくって食べることが多いが、食材が揃わないし時間もかかるのであまりモヒンガーを食べることができないそうだ。

 「今日はナマズにモンパ、バナナの茎が揃っていて本当にラッキー。どれも日本では毎日手に入るものではありませんから」とマヘーマーさんは言う。滅多に食べられない“故郷の味”はみんなを笑顔にしていた。

 ところで、ミャンマーの人たちはこうした食材をどこで入手するのだろうか。尋ねると食材店が軒を連ねる場所があるという。それならばと、ミャンマーの食べ物をもっと知るべく「リトル・ヤンゴン」高田馬場の町中を歩いてみることにした。次回につづく。

モヒンガーは現地の屋台では500チャット(約50円)くらい。トッピングを少なくすればもうちょっと安い
右のピューさんは来日3年半、ニニさんは数カ月前に来たばかり。2人ともセンターで日本語を学んでいる

日本ミャンマー・カルチャーセンター
東京都豊島区高田3-13-6 GRACE高田馬場403
電話:03-3980-7152
ホームページ:http://jmcc.fc2web.com/
※モヒンガーは特別につくっていただいたもので、こちらでは食べられません。

中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮

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