バナナは大きいと10メートルくらいまで伸びるので木のようだが、実は常緑多年草。木の幹の部分が茎にあたる。「朝からナマズというだけでも強烈なのに、さらに未知の食材が……」と思いつつも「エイヤッ」とかじってみると、固い繊維質で甘くないサトウキビのようだった。「噛み切れないです」と訴えると、「生では食べない」とのお言葉をいただいた。煮るととてもやわらかくなるらしい。

 ピューさんが食材を切っているところへ、マヘーマーさんがナマズを持ってきた。蒸し上がったナマズはレモングラスのおかげで臭みも気にならない。「皮と骨を取ってすり身にします。本当は骨も砕いて入れるんですが、今日はフードプロセッサーがないので」と言って、やはり手伝いにきてくれたニニさんと一緒に小骨を取りながら丁寧にほぐしていく。

 「ナマズのすり身がモヒンガーのスープの決め手。なめらかにするためには身をほぐして、さらにすり潰さないといけません。ナマズは高級なので他の魚でつくることもあるけど、ナマズが一番。ミャンマー人にとって魚といえば川魚で、海の魚はあまり食べないんですよ」

 ミャンマーは海に面しているので意外だったが、国土の中央を南北に貫流する大河、イラワジ(エーヤワディ) 川を中心として数々の王朝が生まれ、流域の肥沃な土壌で作物をつくるなど、川の恩恵を受けてきたミャンマーの歴史を考えると合点がいく。

 それにしても、料理はまだ下ごしらえの段階。モヒンガーはすごく手間がかかる。「これを毎朝つくるんですか」と感心していると、「家でつくるのは誕生日や冠婚葬祭など特別な時。ふだんは専門の屋台で食べます。屋台は町のあちこちにあって、みんなお気に入りの店があるんです」とマヘーマーさん。

ナマズはよく身をほぐし、玉ネギやレモングラスはみじん切り。下ごしらえはみんなで手分けして行った

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