マヘーマーさんは1996年に日本に留学。日本にくるミャンマー人を支援するために2003年に現在の場所にセンターを開いた

 「臭いでしょう?」としかめ面の私を見て微笑むマヘーマーさんは、「これで臭みを消すんですよ」と言ってレモングラスを鍋に入れた。そこへ少量の水を入れてナマズを蒸し煮にする。臭い云々よりも、国民食と言ってナマズが「ドンッ!」と出てきたことに面食らったのだが、「何をつくるんですか?」と尋ねるとマヘーマーさんは鍋を火にかけてから言った。

 「モヒンガーです」

 名前だけではまったく想像できないが、直訳すると「お菓子のスープ」ということらしい。ナマズでお菓子をつくるのか、と浜松名物「うなぎパイ」を連想したが、「朝ごはんに食べる料理ですよ」と言う。どうやら軽食という意味合いがあるようだ。

 「モヒンガーは麺が入ったナマズのスープです。ミャンマーには135の民族がいてそれぞれの文化や料理があるけれど、モヒンガーは全国共通。みんな大好きで毎朝のように食べるんですよ」。そう言いながら、マヘーマーさんは下ごしらえをするために、テーブルに玉ネギ、ショウガ、レモングラスなどの食材を並べた。

 「わあ、今日はバナナの茎もあるんですね!」

 屈託のない笑顔で話すのは、モヒンガーづくりを手伝いにきてくれたピューさん。日本の大学で経済を学ぶ留学生だ。手元には直径5センチほどの太くて白い長ネギのような食材。それがバナナの茎だという。ほんのりとバナナのにおいがするので「香り付けに使うんですか?」と聞くと、ピューさんは首を振る。

 「食べるんですよ。モヒンガーにしか使いませんが、入れると甘みが出て美味しくなるので欠かせないんです。ミャンマーでは家の庭や近所にバナナが生えているのですぐ採ってこれるけど、日本では手に入らないのでうれしくて」

バナナの茎は茶色くなった外側を剥いて薄く輪切りにする

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