「今日は贅沢にナマズ3匹です」

 その言葉で大きな鍋に目を落とすと、全長50センチほどのナマズが並んでいた。内臓が抜かれた状態ではあるものの、黒々とした姿はなかなかグロテスクで川魚特有の泥臭さも漂う。私は東京・高田馬場にあるビルの一室にいた。たじろぐ私の前でナンプラーに塩、ターメリックをナマズに揉み込むのはミャンマー人のマヘーマーさんだ。

 学生街として知られる高田馬場だが、近年、在日ミャンマー人が増加。ミャンマーの料理店や食材店が点在していることから、旧首都で同国最大の都市の名を取って巷では「リトル・ヤンゴン」とも呼ばれていたりする。

 もともとは高田馬場から西武新宿線で2駅目の中井にミャンマー人が営む寺院があり、難民や出稼ぎで来日したミャンマー人たちが集まるようになった。それが次第に利便性の高い高田馬場に移っていったという。聞けば、全国にいる約8700人の在日ミャンマー人のうち、高田馬場界隈だけで1000人ほどが暮らすというじゃないか。ミャンマーのソウルフードに出会うならここしかない。そう思ってやってきたのだ。

 訪ねたのは日本ミャンマー・カルチャーセンター。ミャンマー語や竪琴の教室を開催するほか、ミャンマーと日本の文化交流も行っている。この辺に住むミャンマー人の拠り所だというので伺ったところ、センターを主宰するマヘーマーさんがミャンマーの国民食をつくってくれることになったのだ。

ミャンマーではよく食べられているナマズ。高タンパク低カロリーの栄養食品だ

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