第7回 眠気に打ち克つ力 その1 ―睡眠不足に強いのは勝ち組か?

 今回のテーマは睡眠時間の個人差をもたらす第3の要因「眠気(睡眠不足)に打ち克つ力」である。なんとも響きのよいタイトルだが褒めそやしているのではない。なまじ睡眠不足に耐える力があると、むしろ健康上、社会生活上の問題が生じやすいため注意が必要なのだ。これから何回かに分けて日本人の睡眠不足の現状とそれがもたらすリスクについてご紹介する。

 これまで何度かご説明したように、適正な睡眠時間は遺伝(体質)や環境(ライフスタイル)のバランスの中で自ずと決まってくる。しかし交通標識と同じで、それを守るかどうかは別問題だ。横断歩道ではきっちり信号を守るのに、睡眠についてはつい赤信号を見落としてしまう、時にはえいやっ! とみんなで渡ってしまう、それが日本人である。

(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 睡眠時間の疫学調査を行うと3時間台から10時間台まで7時間以上の大きな開きがみられる。一方、健康生活を送るために体が最低限必要としている睡眠時間の個人差は2時間程度である(第4回:譲れない眠り、「必要睡眠量」を測る)。これに発達、加齢、性差、季節、ライフスタイル(活動量や食事など)の影響を合わせても到底7時間には及ばない。

 では個人差の残りの部分はどうやって生まれるのか。答えは単純である。「眠くても寝ない」人が多数いるためである。怒らず読み進めていただきたい。「身長の個人差の一部はつま先立ちです」と言ってるようなもので、ムッとされるのも当然です。しかし実生活でみられる睡眠時間の個人差のかなりの部分は、この眠気に打ち克つ力の個人差で生じているのである。理論的には「眠くないのに寝る」人もいて不思議はないが、実数は少ない(と思われる)。時折やる”ふて寝”はこれには該当しない。

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