第3回 一度はやってみたい 火おこし

番外編 もう一つの火おこし

 木をこすりあわせる方法が成功するまでは、火打ち石を使って火をおこしていました。火打ち石というとフリントという非常に硬い石を使う方法がよく紹介されていますが、そのあたりに転がっている硬そうな石で十分代用できます。

金属ヤスリと硬い石
ぶつけると火花が

 重要なのは、石を当てる金属の方です。じつは石同士を当てても火はできないのです。金属は鉄(鋼鉄)が適しています。身近なものでは金属ヤスリなどが最適です。石があたって高温になった鉄の微粒子が飛び、火種の元になるのです。ただ火花が散っても火になることはありません。火花を受ける工夫が必要です。そこで火口(ほくち)をつくります。

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 火口には炭化した脱脂綿を使います。キャンディーの缶など、フタのしまる容器に脱脂綿を入れて、ライターなどでいったん火をつけてフタをします。そうすると脱脂綿が炭化し、火がつきやすい火口となります。そうして炭化した脱脂綿に向けて火花を散らすと、チロチロと火種ができてくるので、それをイオウの付け木で炎にするのです。

 これは木をこすりあわせる方法に比べてずいぶん簡単なので、質の良い鉄が作れるようになると、火おこしは火打ち石法が中心になっていったとのことです(粒が目に飛ぶこともありますので、安全メガネを掛けて行ってくださいね)。

越澤哲也

越澤哲也(こしざわ てつや)

1964年、名古屋市生まれ。1992年のサイエンス倶楽部立ち上げから参画し、20年以上にわたり理科実験を教えている。「理科離れの声も聞こえますが、子どもたちは本来、好奇心のかたまり。その気持ちを目いっぱい引き出せる、楽しくてためになる実習づくりに日々励んでいます」。共著に『理科実験で科学アタマをつくる』(ベレ出版)。

サイエンスクラブ

1992年に設立された科学実験教室。幼児から中学生までを対象に、首都圏を中心に22教室を展開している。本格的な科学実験を自分たちでやることを通じて、子どもたちに「発見することの喜び」や「考えることの豊かさ」、「仲間と協力して目標に挑むことの価値」を体感してもらうことを目指している。くわしくはこちら。 http://www.science-club.co.jp/