ビールやラム酒は、水よりも日持ちがよかったので好まれた。実際に海賊は、誰もが認める酒好きだったようだ。18世紀にカリブ海で難破し、海賊とともに4カ月を過ごしたナサニエル・ユリングは、彼らを「乱暴で酔っ払いの連中」と表現した。

 有名な海賊「黒ひげ」は、強い酒は彼らを暴れさせないための唯一の手段だったと主張した。また海賊ジョン・ラカムの一味は、酔っ払いすぎて逃げることも戦うこともできず、最後に捕まった。470隻もの船を乗っ取った海賊バーソロミュー・ロバーツが酒を飲まなかったという事実が、大変注目を集めたほどだ。

ロビンソン・クルーソーを助けた海賊

 海賊たちは、食べるに困ることも多かったようだ。海賊ヘンリー・モーガンとその仲間は、1670年に座礁した時、革のカバンを細かく切り、揚げて食べたという。女海賊シャーロット・デ・ベリーの仲間は、難破して絶望的な状況になったとき、二人の奴隷とシャーロットの夫を食べたとされる。

1697~1698年頃のウィリアム・ダンピアの肖像。トーマス・ムレー画(Image courtesy: National Portrait Gallery)

 一方で、航海の先で様々な食にありつく海賊もいた。17世紀の海賊ウィリアム・ダンピアは、「優雅な心を持った海賊」と呼ばれ、海賊であると同時に博物学者、文筆家、グルメでもあった。
 風や海流、博物学に関する彼の先駆的な研究は、ジェームズ・クックやチャールズ・ダーウィンにも影響を与えた。ダンピアは徒歩でパナマの地峡を横断し、地球を3回周航し、1697年にそれについて『A New Voyage Round the World(邦題:ダンピア最新世界周航記/岩波文庫)』というベストセラーを書いた。

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