第114回 断面はマカロニの層! クロアチアの伝統ケーキ

03年にオープンした「クロアチアレストラン ドブロ」。現在店は、2つの階に分かれていて、上階は内陸の地域、下の階はアドリア海沿岸地域の雰囲気を演出している。店内には同国の有名サッカー選手のサインが入った様々なグッズも飾られている

 実は、今回実物には出会えなかったお菓子で、エドワードさんが熱烈に薦めてくれたケーキがある。「クレムシュニテ」だ。ザグレブの西約20キロ、車で30分ほどの小さな町サモボルの名物だという。「メレンゲのようにふわっとしたカスタードクリームをパイ生地で挟んだお菓子なんですが、軽くて2つぐらいペロっと食べられるんです。材料は、砂糖と卵などシンプルで似たものは他の街でもあるんですが、サモボルのものは特別でザグレブの人もこの町まで出かけて食べるんですよ!」

 なんとかこれを再現できないかと思っていた探検隊。レシピがあれば「なんちゃって『クレムシュニテ』を作れるかも?」と野望を抱いていたが、「ドブロ」を訪れた際、川崎さんの一言で夢は完全に打ち砕かれる。「あれは、サモボルじゃなきゃ、絶対食べられないです」。このケーキ、出来たてのほの温かいクリームがはさんであるのが特徴で、その場で食べなければふわふわの食感は味わえないらしい。これを売るサモボルで最も有名な菓子店はカフェになっていて、店内はクロアチアの人々でいつも賑わっているという。お菓子が次から次へと売れるからこそ、美味しい出来たてが食べられるというわけなのだろう。

 「クレムシュニテは、元々はウィーン菓子なんです」。こう教えてくれたのは、「ドブロ」で働いていたことのあるパティシエの近江大介さんだ。100年ほど前にクロアチアに伝わったものだというが、パティシエの近江さんでも「サモボルのものは、今までに食べたことのない食感でしたね」という。「大きく作って切り分けるんですが、一つひとつの大きさをあまり気にせず、ざっくり切り分けているとこが、おおらかでクロアチアらしいんですよ」と笑う。

 食べてみられないとなれば、よけい思いが募るというもの。思わずクロアチアが大好きだという近江さんに真剣に「いつか日本でもサモボルのようなクレムシュニテを食べられる店を出してくださいね」と頼み込んだ探検隊。とはいえ、まずは、本場のサモボル参りに行かなくては?

サモボル市の観光局のガイドブックにも掲載されているクレムシュニテ(写真上)。「ザグレブでは、このお菓子にココアパウダーをトッピングして『ザグレブスカ』などと名前を付けたりしていました」と近江さん。他の地域に似たお菓子はあっても、ほの温かい状態で食べるのは、サモボルならではの特徴

クロアチアレストラン Dobro(ドブロ)
住所:東京都中央区京橋2-6-14 日立第6ビル1F
電話:03-5250-2055
ホームページ:http://www.dobro.co.jp/

メレンダ千春

海外に行けば、どこを見ずとも行くのはスーパーのおやつ売り場という、激甘から激辛まで味の守備範囲は360度のライター。最初の異国のお菓子との出会いは、アメリカに住む遠い親戚のおじさんが日本を訪れる度にお土産にくれた、キラキラ光る水色の紙でキャンディーのように包装されたチョコレート。ミルクの味が濃くて、おいしかったな~。インパクトのあるおやつを求めて、日々邁進中。