第114回 断面はマカロニの層! クロアチアの伝統ケーキ

 ストンや世界遺産にも登録された街並みを誇るドブロブニクは、アドリア海沿岸部にある。真っ青な海を目の前にオレンジ色の瓦屋根の家々が並び、写真だけ見ればイタリアの一地方と見まごう風景だ。食べ物はシーフードが中心の地中海料理で、イタリア料理の影響を受けパスタやピザもポピュラー。ケーキの材料としてマカロニが登場するのも納得だ。

 生地のほとんどをマカロニが占めるこのお菓子。ケーキがまだぜいたく品であった時代に材料を節約できるお菓子として考えられたものだそうだが、今ではレストランでもお馴染みの名物菓子に。現代のレシピは異なるようだが、元々はバターも使わなかったらしい。これがポピュラーな地域では、誕生日やクリスマスにもふるまわれるという。「マカロニたっぷりなので、すごくお腹にたまるんです」とエドワードさん。想像するだけでお腹いっぱい!という表情だ。

ハンガリーのお菓子ベイグリに似た「オラヒナッチャ」。これはクルミのケーキだが、ケシの実を使ったロールケーキもあり、こちらは「マコブナチャ」と呼ばれる Photo:Damir Fabijanić ©CROATIAN TOURIST BOARD

 クロアチアは九州の1.5倍ほどの小さな国だ。しかし、逆L字型という特異な形をしているため、ハンガリーなどと国境を接した北の山がちな内陸部と、南北に長く伸びるアドリア海沿岸部とでは大きく食文化が異なる。例えば、沿岸部と異なり北部は肉料理中心の文化。また、クロアチアは東西の交通の要所にあり、ローマ帝国、ビザンツ(東ローマ)帝国、オスマン帝国(オスマントルコ)、ハプスブルグ帝国、ベネチア共和国など多くの国がこの土地を支配してきたことから、それぞれが入り混じった複雑な文化を形成しているという。「だから、北部では国境を接しているハンガリーなどの影響を受けたケーキが多い一方で、トルコなどでポピュラーなお菓子「バクラバ」(第2回第47回第53回参照)もよく見かけるんです」

 そうエドワードさんが説明しながら、「こんなケーキも北ではポピュラーですね」と見せてくれた写真に「なるほど!」と膝を打った。ケシの実やクルミを使ったハンガリーの“ロールケーキ”「ベイグリ」(第71回参照)そっくりだったのだ。やっぱりケシの実やクルミを使っていて、クリスマス時期によく食べるお菓子だそうだ。

左:イタリアを思わせる街並みのドブロブニク Photo:Damir Fabijanić ©CROATIAN TOURIST BOARD、右:北部にある首都ザグレブ。ハンガリーやオーストリアの影響がうかがえる風景だ Photo:Ivo Pervan ©CROATIAN TOURIST BOARD