第6回 致死率30%の新興ウイルスが日本に定着している!

 そして、最後に病原体を扱う施設について。

 WHO(世界保健機構)が決めたBSL(バイオ・セーフティ・レベル)という基準には4段階あり、数字が大きいほど、厳重な設備が必要になる。最高レベルのBSL-4でないと扱うことができないのは、エボラなどの出血熱や天然痘など、発症すると致死率が高いものだ。

 BSL-4施設は、感染爆発を描いた映画などでお馴染みかもしれない。作業者は、宇宙服のような陽圧防護服を着て施設の中に入り、さらに安全キャビネットに試料を置いて作業する。作業終了後には、消毒薬などのシャワーを浴びてから出てくる。というのは、安全策の一端で、とにかく中のものを滅菌したり消毒したりせずには外に出さない仕組みになっている。

WHOが決めたBSL。(画像提供:安田二朗)(画像クリックで拡大)

「今、世界19カ国に40以上のBSL-4の施設があるんですね。でも日本には、施設はあるのに稼働していないんです。レベル4の研究ができないのは、G8の中では日本だけです。アフリカにもありますし、中国にもありますし、台湾にもある。韓国でも来年度ぐらいから多分、稼働し始めます。感染症っていうのはグローバルなので、いつ入ってくるかわからない。2003年のSARSや2009年のインフルエンザも結局、水際では防げなかった。なので、やっぱり新興感染症を診断したり、平素から研究できる施設っていうのは、絶対必要なんですよね」

 安田さんは、これまでエボラウイルスなどを使った研究をしてきた。しかし、それは、遺伝子組み換えを行った感染性のないものだ。では、感染性のある「生の」ウイルスを扱わなければならない局面はどういう時か。

「熱帯医学ミュージアム」にあったBSL-4施設の例。(写真クリックで拡大)