第30回 歌や小説にもなった、ドイツ人が愛してやまない料理とは

 「六本木に行きますよ!」
 編集Tさんが言い出した。

 「えー、もう朝まで踊る体力ないよー」と訴えると、「何言ってるんですか……。すっごく美味しいドイツの食べ物を見つけたんですよ!」との返事。どうやら、B級グルメ好きなTさんの琴線に触れたらしい。「食べたら絶対に病み付きになるから」と力説するTさんの迫力に押されて、夜の六本木に繰り出した。

 訪れたのは創業21年目の「ベルンズ・バー」。日本にあるドイツ料理店では知る人ぞ知る名店だそうで、店内にはドイツの国旗や小物、ブンデスリーガのユニフォームなどが飾られている。ボルシア・ドルトムント時代の香川真司選手やVfLヴォルフスブルク時代の長谷部誠選手のユニフォームなどをしげしげと眺めているうちに、Tさんが注文した料理が運ばれてきた。

 「これこれ。カリーヴルスト!」

 満面の笑みのTさん。料理に視線を移すと、直径3センチ、長さ15センチほどの大きな白いソーセージにケチャップと黄色い粉がたっぷりかかっている。「ヴルスト」とはドイツ語でソーセージという意味だ。いっぽう、「カリー」って言うからには……と黄色い粉のにおいを嗅ぐとやっぱりカレーパウダー。見た目は、期待を裏切らないB級グルメというか、ジャンクっぷりだ。

 誤解されそうなので言っておくと、私もB級グルメが好きだ。そのうえ、ソーセージは大好物である。これはこれはと、Tさんと一緒に笑顔になってさっそくぱくりといただいた。