第1回 ニホンウナギを守るために今できること

河川改修の結果、ウナギが住みにくい川に……

 こうした禁漁期を設定と併行して、河川環境の改善も欠かせないと望岡准教授は指摘する。

「ウナギの耳石に含まれるストロンチウムの同位体を分析することで、ウナギの一生のうち、海にいる期間、川にいる期間、汽水域にいる期間を調べられるのですが、産卵場で捕獲された親ウナギを調べた結果、一生の約7割を汽水域と川で暮らしていることが明らかになりました。ウナギを守っていくには、汽水域を含む川の環境改善は不可欠といってもいいでしょう」

 自然が保たれた川であれば、蛇行することでところどころに流速の遅い淵ができ、ここを利用してウナギは遡上することできる。比較的流れの速い瀬でも自然な川なら川の底の石は流されず、ウナギの隠れ家ができるだけでなく、カニやエビの生息場所ができてエサ生物の豊かな川となる。

 しかし、従来の河川改修は洪水などの災害を防ぐことを念頭に進められてきた。降った雨水を速やかに海に流せるように、より直線的な川へと改修が進められてきたのだ。その結果、川の流れは速くなり、遊泳能力が低いウナギにとっては遡上することが難しくなってしまった。川底から石が流されるほど流れが速くなることもあり、ウナギの隠れ家は減少。カワウに発見されやすくなったことも、ウナギ減少の一因になったと考えられている。これではいくらシラスウナギの捕獲を抑制しても、親ウナギが増えることはないだろう。ところが、全国内水面漁業協同組合連合会専務理事の大越徹夫さんは河川環境さえ回復すれば親ウナギが増える可能性があると付け加える。

全国内水面漁業協同組合連合会専務理事の大越徹夫さん

「河川改修が進んだ結果、多くの川でウナギが減少してしまいましたが、三重県のある川では、過去30年間、ウナギの漁獲量は変化していないのです。この川を上流から下流まで調べてみると、自然な状態が残されていることが分かりました。ならば、自然な状態に戻してやれば、親ウナギは増えるはずです」

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