第1回 ニホンウナギを守るために今できること

禁漁期を設けて川を下るウナギを保護する

 ウナギというと誰もが川や池に棲む淡水魚という印象を持っているかもしれない。事実、日本の川や池にはニホンウナギの成魚が生息しているわけだが、彼らが産卵するのは日本から遠く離れた南の海。マリアナ諸島の西方沖の深海であることが明らかになっている。

 この海域で誕生したウナギは成長しながら海流にのって日本の沿岸にたどり着くのだが、その間、プレレプトセファルス、レプトセファルス、シラスウナギと姿を変えていく。一般に魚は、成魚と異なる姿をしているうちは仔魚と、ほぼ同じ姿になると稚魚と呼ばれるが、ウナギの場合、プレレプトセファルス、レプトセファルスが仔魚に、シラスウナギを稚魚に当たる。

 仔魚のうちは遊泳能力が乏しいため、もっぱら海流に身を任せるだけだが、日本沿岸にたどり着く頃には遊泳能力のある稚魚となっており、海流の流れから離脱して川を遡上。長いものだと10年程度、日本の川や池で暮らした後、再び産卵のために南の海へと移動を始める。

 ただし、日本の川や池でウナギを過剰に獲られては、ウナギの資源はどんどん枯渇してしまうだろう。そのため日本各地で親ウナギを守る取り組みが行われていることを、九州大学大学院農学研究院の望岡典隆准教授が紹介してくれた。

九州大学大学院農学研究院の望岡典隆准教授

「翌年、日本沿岸に回遊してくる稚魚のシラスウナギの資源量に反映されるため、養鰻が盛んな自治体を中心に、川を下る親ウナギを守る取り組みが始まっています。例えば、愛知県では川を下る親ウナギの採捕量を抑制するため、川に留まるウナギとの違いを示したチラシを配布し、親ウナギの保護への協力を求めていますし、宮崎県、鹿児島県、熊本県、高知県では親ウナギが海に下る秋から冬にかけて採捕を禁じているのです」

 さらに、川にシラスウナギが入ってこないことには親ウナギの増加が望めず、鹿児島県、熊本県ではシラスウナギの採捕できる期間を短縮し、少しでも多くのシラスウナギが川を遡上できるようにしている。

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