第1回 エボラ出血熱と、バイオテロ対策と、

主な新興ウイルス感染症。(画像提供:安田二朗)(画像クリックで拡大)

「WHO(世界保健機構)の定義だと、70年以降に出現したものが新興感染症です。もっとも厳密な話ではなくて、70年より前に出現した、マールブルグ熱とかラッサ熱なんかも新興ウイルス感染症に含まれています。20種類以上ある中で、僕らが主なターゲットにしているのは、ウイルス性出血熱と呼ばれるものです」

 ウイルス性出血熱!

 表にあるのは、エボラ、マールブルグ、ラッサ、クリミア・コンゴなどだ。

 まさに、我々が、新興感染症と聞いて、最初に思い浮かべるのは、これらの出血熱ではないだろうか。

 1990年代から2000年代にかけて、つくられた映画やテレビドラマでも、高熱を発し、出血して死に至るこの系統の病気の恐怖を強調したものが多かった。

 そして、2014年の時点で、ウイルス性出血熱の中で最も知名度の高いエボラ出血熱が西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネ、3国を中心に猖獗(しょうけつ)をきわめている。

 安田さんはまさにこの原因ウイルスの専門家なのである。

つづく

安田二朗(やすだ じろう)

1966年、愛知県生まれ。長崎大学熱帯医学研究所教授。博士(理学)。1991年、北海道大学獣医学部卒業。1994年、総合研究大学院大学生命科学研究科博士課程を修了後、米国アラバマ大学、東京大学・医科学研究所を経て、2000年に北海道大学遺伝子病制御研究所助教授。2003年より、ウイルス学の研究を続けつつ、バイオテロ対策のため警察庁科学警察研究所・法科学第一部・生物第五研究室の室長として生物剤検知システムの開発に携わり、2010年より現職。2014年、「モバイル型生物剤検知システムの開発」の業績により、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)を受賞。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)はNHKでアニメ化され、「銀河へキックオフ」として放送された。近著は、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)、中学生になったリョウが世界を飛び回りつつ成長する姿を描いた切なくもきらめく青春物語『リョウ&ナオ』(光村図書出版)、本連載の「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)など。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider