「原始の海プロジェクト」第2弾は、南ライン諸島へ。太平洋の真ん中に広がる健やかなサンゴの海を守ろうと、キリバス政府も動き始めた。

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[原始の海2]はるかなる南ライン諸島

「原始の海プロジェクト」第2弾は、南ライン諸島へ。太平洋の真ん中に広がる健やかなサンゴの海を守ろうと、キリバス政府も動き始めた。

文=ケネディ・ウォーン/写真=ブライアン・スケリー

 地球上にわずかに残された「原始に近い状態の海」を探査し、その保全を助けることを目指す、ナショナル ジオグラフィック協会の「プリスティーン・シー(原始の海)プロジェクト」。海洋生態学者のエンリック・サラが率いるチームは、太平洋の南ライン諸島を訪れた。

 南ライン諸島は、カロリン島(通称ミレニアム島)、フリント島、ボストーク島、モールデン島、スターバック島という五つの小さな無人島から成る列島で、ハワイ諸島の南方2400~3400キロに位置する。漁業や観光で環境が脅かされる太平洋にあって、この一帯の海には、今も手つかずの自然が残っている。

 南ライン諸島周辺の海域では「食物連鎖の逆ピラミッド」とも言うべき現象が見られる。すなわち食物連鎖の最上位の捕食動物が、最大の生物量を占めているのだ。その割合は、モールデン島では実に7割を超えていた。
「ここは恐怖の海だね。どこを見ても、襲っているか襲われているかのどちらかしかない」と、ベテラン水中写真家のブライアン・スケリーは言う。

写真家を狙うサメたちの“ポジション争い”

 ある日の夕暮れ時、海に潜ったスケリーをオグロメジロザメが取り囲んだ。
「60頭はいたと思う。三方をサンゴに囲まれた場所で写真を撮ろうとしていると、1頭がすぐ近くまで寄って来た。サメは普通、追い払えばいったんは姿を消すものなのに、ここのサメはすぐに戻って来るんだ。その1頭の後ろには5頭、その後ろにはさらに10頭……まるでレース中の競走馬のようにポジション争いをしているのが見えた。36年も潜っていれば、捕食動物に肝を冷やした経験はそれなりにあるけど、自分の体が標的にされていると実感したのは初めてだった」

 今は豊富にいる捕食動物だが、一瞬にして激減する可能性もある。たとえばフカヒレを目当てに大型船がやって来れば、ものの2、3カ月でサンゴ礁からサメの姿は消えるだろう。最上位の捕食動物がいなくなれば、中位の捕食動物が数を増やし、草食動物の数が激減する。そうなればサンゴは藻類に圧倒されてしまうだろう。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2014年9月号でどうぞ。

編集者から

 8月号「フランツ・ヨーゼフ諸島 極北の大自然」に続く、「プリスティーン・シー(原始の海)プロジェクト」第2弾。今回は常夏の南ライン諸島を取り上げました。「原始の海」と訳していますが、プロジェクト名の「プリスティーン」には「手つかずの~」というニュアンスがあります。人間の手が及んでいない海はすごいですね。エルニーニョ現象などによって海水温の上昇に見舞われると、サンゴは白化したり病気になって弱ったりするものですが、この海のサンゴはそんななかでも完璧な健康状態を保っているのだとか。その秘密は何なのか。原始の海は、生態系のあり方を考える上で、多くのヒントを与えてくれます。写真家ブライアン・スケリーによる美しい水中写真を鑑賞するだけでも楽しめますが、環境問題に関心のある人にもぜひ一読していただきたい特集です。(編集N.O)

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