有機野菜はやはり「おいしくて健康的」、英米の研究で

(Photograph by Angie McPherson)

 ベンブルック教授は言う。「いわゆる『テロワール(地理や地質や天候など、作物を取り巻く生育環境全体のこと。作物の出来に大きく影響するとされる)』という概念はもともと、地域に特徴的な生物学的ストレスや、ストレスに対する植物の反応の仕方に影響を与える土壌のタイプを表現するために生まれたものです。植物がストレスに対抗するために体内で作る化学物質は、その植物特有の味となります。もっと風味の濃い野菜が食べたいという声は多く聞かれますから、有機栽培によって果物や野菜の風味が増すというのは、まさに朗報でしょう」

 また従来農法の土壌には通常、合成肥料の窒素が高濃度で含まれており、植物は手軽にすばやく使えるエネルギーとしてこれを消費することで、果物や野菜の内部に糖やでんぷんをたっぷりと作り出す(糖とでんぷんは、普段の食生活ではめったに不足しないだろう)。かわりに犠牲になるのが、風味をより豊かにし、健康を増進してくれるはずの抗酸化物質だ。この研究ではまた、有機野菜は通常の野菜に比べて、カドミウムと金属汚染物質の量が50パーセント少ないこともわかっている。

 同研究の必要経費42万9000ドルを調達するのは、イギリスだからこそできたことだとベンブルック教授は言う。「アメリカでは無理でしょう。イギリスでは資金提供者が、食の安全性や栄養価について正しい情報を求めているのです」

 とはいえ、有機野菜はいまや350億ドル規模の成長産業となっており(大手スーパーのウォルマートまでが有機食品大手と契約し、通常よりも大幅に安い価格で有機食品を販売することになった)、状況はこの先、変わっていくかもしれない。より多くの消費者が食品の品質についての科学的な情報を求めるようになれば、われわれはより真実に近づくことができるだろう。

(文=Mary Beth Albright/訳=北村京子)