第79回 ぼくが12年間、昆虫撮影に使っているカメラ

ジンガサハムシの一種(甲虫目:ハムシ科:トゲハムシ亜科:ジンガサハムシ族:カリプトセファラ属)のサナギ
A pupa of Calyptocephala tortoise beetle
第73回で紹介した「頭をたくさんくっつけた幼虫」のサナギ。葉にくっついたサナギの腹側を正面から撮影した。シャッタースピードは1/3秒。マクロレンズを使用。(写真クリックで拡大)

 コスタリカは雨季。ここモンテベルデの森の上のほうは、小雨の音と木々を揺らす風音にもう2カ月近く包まれている。例年の雨季なら午前中はカーッと晴れ、気温が上昇するのだが、今年は晴れ間が出てもほんの数分だけ。長引く雨風で大小の木々がどんどん倒れていっている。異常気象なのかもしれない。

 さて今回は、そんな天候のなかでも生態の記録で活躍する、ぼくが愛用しているカメラの話をしよう。

 デジタルカメラは日々変化し、性能や機能の向上が著しい。大型画面はもちろんのこと、タッチパネルやWi-Fi、深度合成や高画質の動画撮影など、機能の進化はもうスゴイとしか言えない。以前に比べると、画素数も格段に増え、画質や感度も良くなり、手の届きやすい価格のものが溢れている。

 そんななか、ぼくが毎日のように愛用しているカメラがある。ニコンの「クールピクス4500」というコンパクトデジタルカメラだ(以下、ニコンの型番「E4500」と略記します)。2002年の6月に発売されたものだから、もう12年以上も使い続けているのである。今回紹介する昆虫たちの接写はすべて、このE4500 で撮影したもの。もちろん時と場所によって数台のカメラを使い分けているのだが、このカメラは欠かせない。

 デジカメにしては十分「古い」機種を、なぜ今も使っているのか?

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ニコン クールピクス4500(E4500)
Nikon Coolpix4500
コスタリカ大学で修士課程を始めたころ(1998年)に、研究や観察データの記録媒体として、ニコンクールピクス950(E4500の初期モデル)を使い始め、写真撮影に目覚めた。2005年、調査でタイへ行った際も、このカメラのマクロ機能が威力を発揮した。右はマクロレンズ(レイノックス MSN-505)を装着。湿度が高い場所で少々雨にぬれても、いまのところ問題は起きていない。(写真クリックで拡大)
エンティリア・カリナタ ツノゼミ(カメムシ目:ツノゼミ科)のオス
A treehopper, Entylia carinata, male
大きさがわかりやすいように指を入れて撮影した(左)。シャッタースピードは、写真左が1/3秒、右は1/2秒。両方ともマクロレンズを使用。第16回で紹介したメスは、ひとまわり大きく、その写真は夜中一眼レフでフラッシュを使って撮影している。
体長:約3 mm 撮影地:エル・ロデオ保全区域、コスタリカ(写真クリックで拡大)
フタオチョウの一種(鱗翅目:タテハチョウ科:フタオチョウ亜科)
A caterpillar of a leafwing butterfly, Memphis sp.
第74回で紹介したフタオチョウの卵から幼虫が孵った。大きくなった幼虫は葉を筒状に丸め、その中に隠れる。左は穴に入ったところ、頭部を正面から、E4500+マクロレンズで撮影。シャッタースピードは1/9秒。右は、幼虫が穴(矢印)に戻る直前に一眼レフで撮影したもの。この幼虫、まだ飼育しています!
体長:34 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)