ベジタリアンは不健康? 菜食主義の2500年

グラハムクラッカーの生みの親はベジタリアン

 19世紀初め、菜食主義の急先鋒だったのがグラハムクラッカー(全粒粉で作ったクラッカー)の考案者、シルベスター・グラハムだ。教会の聖職者であり、ペンシルベニア飲酒抑止協会の代表を務めていたグラハムは、肉や脂肪、塩、スパイス、ケチャップ、辛子、ラム酒はすべて、米国の犯罪や姦淫、心身の病気の元凶であると考えていた。

 人々はすぐにグラハムの健康法に飛びついた。それは、オートミールの粥や豆類、ゆでた米、バターを塗らない全粒粉パンやグラハムクラッカーを食べ、冷水浴を行い、堅いベッドで休み、窓を開けて風を通し、積極的に体を動かすという、厳格な健康法だ。

 グラハムを信奉した人々の中にブロンソン・オルコットがいた。『若草物語』の著者、ルイーザ・メイ・オルコットの父である。彼がマサチューセッツ州ハーバードに作った実験的なコミュニティでは、肉類、コーヒー、アルコール、乳製品の食用や温浴を禁止し、動物を屠殺して得る皮革製品を身につけることも禁じた。人工の光を利用せず、飲むのは水だけ、食べるのは「向上心ある野菜」、つまり、ニンジンやジャガイモのような地中深く下に向かって育つ植物ではなく、上に向かって伸びる植物だけ。この共同生活はわずか7カ月で頓挫した。

(Photograph by Windell Oskay)