第2回 ヒト科の心はどのように発達してきたのか

 男性のチンパンジーは、力強い。必要とあらばいつでもそれを誇示してみせる。

 必要というのは……たとえば、よそ者が来た時だ。

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 取材に訪れたぼくらは明らかによそ者なので、ふたりの男性チンパンジーは大興奮して、ブースの中から威嚇した。ポリカーボネイト素材の透明な壁をドンドンと叩くのだが、これが強力だ。オレたちはスゲぇんだぞ、わかってんのか、オイ! というかんじである。それでも表向き動じないようにしていると、すぐに落ち着いて、平田さんの手から素直に食事を受け取るようになった。

 そこで、平田さんやマイケルさんは、ふたりのチンパンジーにおしりを突き出させて、チューブのついた模擬注射器のようなものを肛門から差し込む練習をしていた。

「直腸に座薬みたいにして投薬できないかなと考えて、トレーニング中なんです」というのが説明。飼育されているチンパンジーが病気になった時などに薬を使うわけだが、注射するよりも座薬の方がチンパンジーの体への負担が少ない。実際にまだそれで有効かどうか分からないそうだが、試すためにまずは慣らしている。

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