双子研究は強力な方法だ。(イラスト:三島由美子)(画像クリックで拡大)

 しかし、調査対象である「表現型」の発現に遺伝と環境のどちらがどれだけ強く作用しているか推測するための強力な手法がある。それが双生児研究である。表現型とは身長や体重、病気の症状などのことで、今回は睡眠時間である。一卵性双生児は同一の遺伝子配列を有するため、仮に遺伝的影響が非常に強ければ環境の相違があったとしても双子の睡眠時間はかなり近似するはずである。逆に環境の影響がより強ければ両者の乖離は大きくなる。

 最もスタンダードな双生児研究とは、誕生後間もなく異なる家庭環境で別々に育てられた一卵性双生児のペアで表現型を比較する方法である。実際にはそのような特殊な生育歴を持つ一卵性双生児のペアを多数集めて協力を得るのはとても難しいため、代わりに一卵性双生児と二卵性双生児、兄弟、全くの他人との間で表現型を比較するなど様々な指標で遺伝・環境の相互作用を検討する。

 これらの遺伝学的手法を駆使して、これまでに米国、カナダ、フィンランド、オランダ、クロアチアほか、様々な国と人種を対象にして睡眠時間に及ぼす遺伝と環境の影響度を比較する調査研究が行われた。その結果、心強いことに大部分の調査で睡眠時間に対する比較的大きい遺伝的影響が確認されたのだ。道は行き止まりではなかった!

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