第111回 紀元前生まれの不思議な“かき氷”

 日本ではキュウリを皮ごと食べることが多い。だから、モーセンさん「皮まで食べるなんて!」と最初は思ったそうだ。バナナの皮まで食べるのと同じように見えたのかも。「日本のキュウリはイランのものより皮が薄いから、今では僕も食べるけどね」

 さて、イランの伝統的な冷菓はファールーデだけではない。次に登場したのはペルシャ風アイスクリーム「バスタニ・ソンナティ」(バスタニはアイスクリーム、ソンナティは伝統的なという意味)。サフラン、ピスタチオ、ローズウォーターを使ったアイスクリームで、さらにサレップという植物の球根から作るでん粉が入っているため、ちょっと粘り気がある。サレップは、第58回のトルコの回でも紹介したのびるアイスクリームの素だ。

 軟らかなトルコのアイスクリームとは異なり、バスタニ・ソンナティは一見普通のアイスクリーム。でも、食べてみたら、粘り気以上に気になるシャリシャリとした食感があった。これはなんだ?

  モーセンさんに顔を向けると、「生クリームを板状に凍らせて、それを割って混ぜ入れているんだ」という。凝っている!「昔の牛乳は脂肪分を均質化していないので、生乳に含まれる脂肪球の大きさにばらつきがあったんだ。だから、アイスクリームを作ると凍った脂肪の塊がところどころに出来たんだよ。今の牛乳は製造過程で脂肪球を小さくし、乳脂肪が全体に均一に含まれるようにしていて塊が出来ない。だから、わざわざ別に生クリームを板状に凍らせたものを砕いて入れるんだよ」。昔ながらの味を再現したアイスクリームなのだが、とっても新鮮な味わいだ。

バスタニ・ソンナティ。白っぽく見えるのが、凍った生クリーム。ほとんどのアイスクリーム屋にあるクラッシックなメニュー。ちなみに、アイスクリームは薄いワッフルのような生地にはさんで食べたりもするという。「生地はモナカの皮みたいで、パリパリしていて味はないんだ」とモーセンさん
これは、ローズウォーターのアイスクリーム。イランでも人気のフレーバーだという。バラの香りたっぷり。ローストしたアーモンドスライスが入っていて、香ばしくとても美味