第111回 紀元前生まれの不思議な“かき氷”

  そのイランで紀元前5世紀に出来たといわれる冷菓が「ファールーデ」だ。いくつか種類があるそうで、特にポピュラーなのは、「ファールーデ・シーラーズ」と呼ばれるもの。シーラーズとはイラン南西部の街の名前だ。でん粉から作った細い麺を冷やし、凍らせたシロップと混ぜたイランならではの“かき氷”なのだ。イランでは、アイスクリーム屋で売られているらしい。

 「ライムやレモンの果汁をかけて食べるのがポピュラーなんだけど、今日はサワーチェリーのジャムで作ったシロップを凍らせて麺に混ぜたんだ」と出してくれたのは、爽やかな甘さのジャムがトッピングされたファールーデ・シラーズ。シロップで作った氷は解けやすく、かき氷というより、白くて細い冷たい麺が冷え冷えの甘いシロップに浸っている感じ。不思議な食感だ。

「『ファール―デ』は、フレッシュフルーツを使ったものもよく見かけるね。例えばキュウリ、リンゴ、メロンとか」というモーセンさん。キュウリがフルーツ?と再び目が丸くなる。また、しょうがないねぇという風に彼は笑うと「イランでは、キュウリは果物なんだ。リンゴやオレンジと一緒にお客さんに出したりするんだ。皮はむかずにナイフとフォークと一緒にそのまま出すの。それでバナナみたいに皮をむいて、ちょっと塩をかけて食べるんだ」

 キュウリは95%以上が水分。味も淡泊だしフルーツだといわれれば、そんな気がしないでもない。好物のキュウリのサンドイッチを思い出して、あれ、イランではフルーツサンドなんだぁ、と思うと、なんだか楽しくなってきた。

サワーチェリーのファールーデ・シラーズ。 この他にもタピオカや杏仁豆腐に似た具材と凍ったシロップを合わせるファールーデがあるそうだ