第111回 紀元前生まれの不思議な“かき氷”

 じっとしているだけで、じわりと汗がにじんでくる。アイスクリームやかき氷が、とびきり美味しい季節の到来だ。「冷たいお菓子の探検に行きませんか?」というユカリ隊員の言葉に思わずうん、とうなずいたものの、さてどの国の探検に行ったものだろう。

 初心にかえってみたら何かびっくりするような冷菓が現れるかもとアイスクリームの歴史の本を開いてみると……驚くことを発見。なんと一説には冷菓の起源は中東にあるというのだ。あの暑い、乾燥した砂漠が広がる国々で、冷蔵庫のない時代に凍ったお菓子が生まれたって? 

  なんでも、紀元前4世紀に現在、中東と呼ばれる地域を含む広大な王国を支配したアレクサンドロス大王は、雪や氷にハチミツや果汁をかけたものを楽しんでいたという。中世には、アラブ人やペルシャ人、トルコ人が雪や氷を入れた果汁などの冷たい飲み物(シャルバート、アラビア語で飲み物の意味)を満喫。これがイタリアに伝わり雪・氷にレモンなどのフレーバーを加えた冷菓に変化したのだろうという。シャーベットの誕生だ。

 そんな記述を手掛かりに、探検隊が向かったのは東京・阿佐ヶ谷のイラン料理店「ジャーメ・ジャム」。なんとここに、ペルシャ帝国に起源を持つ冷たいお菓子があるというのだ。ペルシャは、カスピ海とペルシャ湾にはさまれた現在のイラン(イラン・イスラム共和国)の地に約2500年前に興った帝国である。