翌日、午前中の撮影を終え、ランチタイムが近づいてきたので、ぼくはジムに誘われた通り、レイヴンウッド・スタジオへと向かいました。

 舗装された道路を歩き、見覚えのあるゲートまでやってくると、その脇を抜け、スタジオのなかへと入っていきました。

 はじめて来たときの緊張感がふっと頭をよぎりましたが、それもすでに、なつかしい思い出でした。

 いまは、近づいてくる小川の音が、さらさらと楽しげに聞こえます。

雨が降りしきるなか、一羽のアオサギが水面をじっと見つめていた。気配を消して、魚が目の前を通るのを待っているのだろう。(写真クリックで拡大)

 小川にかかる橋までやってくると、左手の向こうに、鋭くとがったスタジオの屋根が見えました。

 さらに進んでいくと、スタジオの入り口へとまっすぐ続く砂利道に出て、その両脇には、立派な松の大木が並んでいました。

 大木たちに見下ろされるようにして進んでいくと、自然と気持ちが引き締まっていくようでした。

 スタジオは、向かって左手の、小川の方へ下りていく斜面に沿って建てられていました。

 ですから、建物と反対側の、向かって右手は登り坂になっていて、そのところどころで、岩盤がむき出しとなって黒く光っていました。

 斜面の上の方へ目をやると、クリフハウスから見える森と同じように、シラカバの白い幹が、一定の間隔を保ちながら並んでいるのが見えました。

 川、岩、松、シラカバ……高低差のある景色のなかに、多様な自然の要素がいくつも混在していて、その調和がとても目に心地良いので、思わずその場で立ち止まって、深呼吸をしてしまいました。

 車止めまでやってくると、ジムの奥さんであるジュディが、スタジオの裏口から出てきて、はつらつとした声で出迎えてくれました。

7月26日(土)に東京都立川市ギャラリー茶遊で、7月27日(日)に世田谷区立喜多見まちかど図書室で、大竹英洋さんの講演及びトークライブが開催されます。くわしくはこちらのページをご覧ください。

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