力んだ割に、あんまりはっきりしないグダグダな結論になってしまっている感が否めない(笑)。このグダグダ感は、2013年12月から続々と発表された、政治的な意味合いも含まれていそうな新発見に、大きく影響されている部分があります。

エンケラドゥスの優位性

 ワタクシは、もともと太陽系地球外生命探査対象としてのエンケラドゥスのアドバンテージは絶大であると思っていました。内部海や内部深海熱水の存在がほぼ確定的で、内部海からの噴出物(プルーム=潮吹き)が確認されており、なによりもNASAの土星探査機カッシーニによるその場化学成分分析によって、海水や熱水活動、生命活動のエネルギー物質や栄養塩、有機物の存在が定性的にはほぼ明らかになっていたからです。

 しかもエンケラドゥスでは内部海の潮吹きのおかげで、着陸などの難しいオペレーションを想定しないでも、潮吹きを通過するフライバイを繰り返すだけで自動的にその場分析やサンプリングができるという利点がありました。

 たしかに地球からの距離はとても遠いので、片道切符ならともかく往復できるのかという探査機工学上の問題はあります。しかしその問題をアメリカ・日本の探査工学者達に問うた時に、彼らから返ってくる自信に満ちた「不可能ではない、キリッ」というセリフにはもちろん勝算があるわけで、実際に探査工学を含めた日本、アメリカのそれぞれサンプルリターン生命探査の実現可能性について、論文も発表されています(日本版計画についてはこちらで閲覧可能。)。

 つまり、エンケラドゥスだけが、生命存在可能性を想像ではなく、科学的に評価できる唯一の例だったと言えます。

 一方、様々な間接的証拠から類推できる予想まで含めた場合、エウロパは太陽系最強のポテンシャルを持っていると言えます。巨大な内部海をかなり長期にわたって保持できることは、生命が存在するために大きなアドバンテージだからです。
 それでもやっぱりそこには(希望的)想像の部分が大きく入りこんでしまっていることは否めませんでした。しかも、いかに生命の存在可能性が高くても、分厚い氷に阻まれていては生命活動の検出をしようにも手の出しようがないと。

 ただし、世界的な情勢を見れば、強力なコミュニティ・実績作りとロビィ活動で「エウロパ」派(必ずしも生命探査を含んでいるわけではなく探査対象としてのエウロパ推進派の意味)は遙かに上を行っていて、サイエンス誌の記事にすら「探査対象として圧倒的にエウロパが優勢、にゃむ」と書かれている状況です。

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