エウロパの内部海の想像図。奥に見えるのは木星とその衛星イオ(画像:NASA/JPL-Caltech)(画像クリックで拡大)

 これらの氷衛星や氷準惑星にあると考えられているのは地球の海のような「表面海」ではなく、分厚い氷の下にある「内部海」です。そして「内部海」の下層には岩石層が存在していると考えられています。

 この岩石層が近隣の惑星や衛星の重力の影響で「揉みしだかれて火照っちゃった」挙げ句、氷を解かして「内部海」をつくり、さらに解けた水と火照った岩石が反応した「内部深海熱水」ができていると考えられているのがエウロパやエンケラドゥス、あるいはガニメデ。

 一方、岩石層のさらに内部のコア物質の放射性壊変の熱によって、岩石が「火照っちゃった」挙げ句氷を解かし、解けた水が火照った岩石と反応した「内部深海熱水」があるかもしれないと考えられているのがケレス。

群雄割拠の生命探査候補

 しかし内部海や内部深海熱水が存在したとして、仮にそこに地球の深海熱水に生息するような化学合成生命体がワラワラと蠢いていたとしても、分厚い氷に閉ざされた内部海にどうやって生命を探すんだ? どうやってその生命を持ち帰るんだ? という問題が出てきます。

 さらに、我々の宇宙探査機がなんとかその場に行って探査する、あるいはなんとか行ってブツを持って帰る、と言ってみたものの、ホントにそんなことが技術的に可能か? とか、成功確率はどうなんだ? とか、コストパフォーマンスはどうなんだ? でもお高いんでしょう? 2番じゃダメなんですか? と散々諸々突きまわされることが予想されるわけです。そして挙げ句の果てに「科学者の間で、多数決でも抗争でもいいから探査候補を1コに絞って持って来いや? お」みたいに難題を突きつけられたりすることも大いに有り得ます。

 このような状況を理解すれば、皆さんもきっと、「太陽系地球外生命探査計画」にも「エウロパ」派や「エンケラドゥス」派、「小さなこと(生命探査より惑星科学探査)からコツコツと」西川きよし的派、「いきなり地球外生命リターン」派、などなど諸子百家が存在し、少ないチャンスと研究・開発資金を巡る激しい駆け引き、があるんだろうなと容易に想像できるのではないでしょうか。ズバリそうです。

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