映画が描いた地球外生命探査 あのシーンは本当だった? 

地球からのメッセージを受けて宇宙人が襲来する?

 探査機でメッセージを送るのでは他の恒星系の文明に届くまで万年単位の時間を要してしまう。そこで、電波に乗せてメッセージを送るアクティブSETIが行われている。

 例えば、本誌でも紹介したフランク・ドレイクらによって1974年に実施された「アレシボ・メッセージ」は、前述のアレシボ天文台から球状星団M13にメッセージが送信されたが、この世界初のアクティブSETIを取り入れているのが『スピーシーズ 種の起源』(1995年)だ。

 映画の冒頭、アレシボ天文台が写されるほか、ベン・キングズレー演じる研究所所長によりアレシボ・メッセージに呼応して、効率良くメタンを合成する触媒の情報と、DNAの塩基配列が宇宙から送られてきた事実が述べられる。もちろん、宇宙からの情報はフィクションであり、示された塩基配列に従ってDNAを合成したところモンスターが出現するというSFに仕立てられている。

 さらに、『バトルシップ』(2012年)では地球から約20光年離れた恒星グリーゼ581にメッセージが送られた。最近の研究では否定する見解も示されているが、このグリーゼ581には、恒星から適度な距離にあって液体の水がある、つまり、生命がいる可能性がある「ハビタブル・ゾーン」に惑星(グリーゼ581g)を持つと考えられていただけに、メッセージを送る対象がグリーゼ581であるというのは、この映画の製作者が現実の研究成果を取り入れている証拠と言える。

 しかし、グリーゼ581は20光年も離れているのだから、グリーゼ581星系人が光速で航行できる宇宙船を開発していたとしても、地球に襲来できるのは40年以上先の話だ。『バトルシップ』の描写からすると、ほんの2、3年のうちに地球にやってくることはありえない。

 とはいえ、荒唐無稽と思われるSFであっても、ここで紹介した映画が現実のSETIの成果を取り入れていることはお分かりいただけただろう。是非、映画を見て遥か彼方にいる地球外生命に思いを馳せていただきたい。

(文・斉藤勝司)