第3回 ナゾの絶滅大型哺乳類デスモスチルスとは何者か

「グループを代表するパレオパラドキシアとデスモスチルスは、1200万年くらい前、束柱類が消えてしまうまでいた種類ですが、むしろ、祖先にあたるものが分からなかったんですね。それが、最近ベヘモトプスの顎と牙がオレゴンで見つかって、その後同じベヘモトプスのまた全身骨格が北海道の足寄で見つかった。さらに、アショロアというそのまた全身骨格も北海道の足寄で見つかったんです。2500万年とか2800万年というかなり前のものです」

 というわけで、束柱類というグループ全体のあらましが、なにやら日本で発見された化石によって、だいたい言えてしまう希有な状況にあるわけだ(前頁の系統図参照)。

 しかし、やはり、謎は多い。

「ひとつは、束柱類の起源、ですね。ゾウなどの長鼻類、それからイワダヌキ(ハイラックス)類やカイギュウ類などと近しいグループだっていわれてるんですよね。ところが、束柱類だけ化石記録が出始めるのが、3000万年から2800万年前ぐらい。他の連中はもっとずっと古いところから化石が見つかってるのでかなり追えるんですけど、この仲間だけは2800万年前までしか戻れない。そして、1200万年前ぐらいを最後にして、また全部いなくなってしまう。だから、いつ、どこで、どういうふうにして起源してるのかがわからない」

 そして、体が変だ。

「まず、前腕の尺骨と橈骨が癒合しちゃってて、手を動かすときに制限があって、腕全体を使わないとうまく動かせないんじゃないかとか、変なことになっているんです。しかも、歯ですよ。小指ぐらいの筒状のものが6個から7個、1つの塊になってて、それが1本の歯なんですね。だから柱が束になってるっていうんで束柱類っていうんですけど。その歯、むちゃくちゃ分厚いエナメル質を持っていて、それで一体何をどうやって食べてたのかっていうのも、よくわからないと」

 こんなふうに謎だらけの束柱類であり、今後の研究が待たれる。

 しかし、それにしても……。

 なぜ、日本ばかりから重要な束柱類の化石が発見されるのだろう。この点、冨田さんに聞いた。